木の家」見学会 報告
 
■日時■  2002年10月12日(土)・13日(日)
■場所■ 香川県綾歌郡綾南町滝宮
■来場者■ 54組
■建物概要■ 構造 木造在来工法(民家型構法「木の家」)

床面積 100.85m2(30.51坪)

主な仕上 屋根   日本瓦葺
       外壁   焼杉板張り
       内部床  ラオス松無垢板張り
       内部壁  漆喰クロス貼り

■設計者の言葉■
(折り込みチラシより)
近くの山から生まれた家。
飾らない生き方を提案する、
風景になじむ木の家。




里山の風情を残した地に建つ、一枚の絵のように風景になじんでいる木の家。

周囲としっくり溶け込んだこの家は、近くの山の木を使って建てられている。

緑豊かなこの国では、昔は近くの山の木で家を造ることは
とても自然なことだった。身近な木で家を造り、山を手入れし、山に活力を与え、自然と共に生きる。

現代が忘れかけていたたおやかな暮らしを取り戻す家。

高知杉の柱、小舞編みの土壁。いにしえより受け継がれた知恵が息づいた木の家には、新しさと懐かしさが融合し、家族を優しく包み込んでいく。斬新すぎず、格式にもとらわれすぎない、

あたたかさに満ちた、自然に肩の力が抜けていく空間。

少し昔に立ち戻ってみる、という新しい暮らしの提案は、その街の色や風にとけこんだ住まい方の提案でもある。

一番心地いい場所で、その街に調和した暮らし方。

それができるのがこの木の家なのだ。


T長持ちさせるための提案

1.近くの山の木(高知杉)を使った。通し柱を杉の赤味135角とし、管柱は120角、土台を桧120角とし、 耐久性を高めた。
2.小舞土壁による真壁造とし、柱、梁、胴差、力床をすべて現しとした。木が呼吸できる環境とし、 そこに居住空間を作った。
3.登梁を使った。2階階高を1.65mと低く押さえてあるにもかかわらず、最大4.2mのゆったりした空間を 作った。吹き抜けと合わせ室内の空気循環を向上させた。
4.大きく越屋根をとり、ル−バ−窓による自然換気をとった。家全体の呼吸、換気と同時に天井からの 採光も得た。
5.単純な矩計、総2階の平面計画」とし、地震・風に対する構造合理性、バランスをとった。それは 同時に合理的経済性の向上にも役立っている。
6.柱ホゾを全て4寸長ホゾとして、全箇所を込栓(こみせん)により緊結した。壁を貫構造とすることで、 特に地震時の横荷重を分散させる柔軟な構造とした。
7.軒の出を1.2mとり、外壁部の耐久性を向上させた。外壁は小舞土壁の上に伝統的な素材として、 焼杉(徳島産)を通気工法で貼った。

U気持ちよく住み続けるための提案

1.家族の中心、求心的な場としてタタミの間(居間)を中心に、各室を構成することで、例えば「ただいま」「おかえり」といった自然な会話が生まれるようにした。
2.茶の間の復権を考えた。座の空間としてのタタミの茶の間を最も日常的中心においた。映画寅さん シリ−ズの時代の家族のつながりを生む空間とした。
3.北側遠方の里山の風景をタタミの間北西の大窓に向け取り入れた。周辺環境の景色と居室を一体化する ことで、場所に対する愛着が生まれ、同時に広がってゆく空間を作った。
4.柱、梁、胴差、力床等無垢材の構造を化粧現しとすることで、木の香りに満たされた室内とした。
5.玄関土間を広くとり、縁側空間として使えるようにもした。来客時のさりげない接客をねらった。
 土間上部の吹き抜け、南側に大きく窓をとり、ゆったりとした空間を作った。
6.設備機器は、ガイシレセップ灯の照明をはじめとして、極力シンプルで明快なものとし、無駄のない メンテナンスのしやすいものとした。
7.タタミの間、吹抜、2階ホ−ル、越屋根という縦方向の空気の流れと南北、東西の通風のとれる間取り とし、風通しのよい家にした。

V環境に配慮するための提案

1.自然素材を使うことで、材料の生産から廃棄までの環境負荷をできうる限り小さくした。再利用可能な素材であることを優先的に選択のよりどころとした。
2.近くの山の木を使う事は、材料輸送による CO2排出量等の環境負荷をできるだけ低減することを目的としている。
3.近くの山の木を使うことは、生長しながらCO2を吸収する森林の再生、循環のサイクルにつながる。
4.建築生産においても、近くの山の木を継続的に使っていくことは、林業と森林資源を保全再生するための有力な方法です。
5.家の場所と木の育った場所は近いほど良い。木が生長した気候風土、湿度といった環境に近いほど、「割れ」や「そり」といった材料に対する環境からの影響を受けにくく、敷地周辺の気候風土になじみ、 耐久性の向上につながる。

■建物写真■ 作品集へ
■見学会風景■

こんな写真しかなくてごめんなさい。
  

■来場者アンケ−トより■
国分寺市 36才 男性 ・「木と漆喰クロスの雰囲気が落ち着いた感じで良かった」

綾歌町 56才 男性 ・「上級の施工で感心しました。部材も木ということで暖かみがあり良いと思います。」

観音寺市 女性 ・「入口付近の雰囲気はとてもステキです。形式にとらわれず景色や方角を中心に建てているのもハッとさせられた感じです。」

綾南町 57才 女性 ・「木のぬくもりを感じました。」

観音寺市 43才 男性 ・「コンパクトな設計で無駄がなかった。」

国分寺市 58才 男性 ・「お施主さんのこだわりに感心いたしました。」

観音寺市 27才 男性 ・「木目が美しかった。」

国分寺市 ・「とても参考になりました。風通しのいい家が良いことがとてもわかった。」

国分寺市 55才 女性 ・「自然素材を使って昔懐かしいような癒しの空間に触れました。シックハウスの心配もなく、健康とエコロジ−と価格を含めて一考をさせられました。間取りもすっきりとして無駄のない設計で合理性と安全性(階段の段差とバリアフリ−)を感じました。」

国分寺市 26才 男性 ・「木の家の温かさが伝わり建ててみたいという気持ちが芽生えました。しかし、もう少し自分達自身で勉強が必要だと感じました。」

高松市 36才 男性 ・「自然素材を使って、シンプルでいて非常に拡がりのある家である」

善通寺市 39才 女性 ・「木をふんだんに使った家で落ち着きます。年月を経るごとに味わいのでてくる家でしょうね。キッチンの土間は、すごく驚きました。」

香川町 男性 ・「こんな建築がこれから増えるといいです。」

香川町 49才 男性 ・「木の香りがして体に良いなあと思った。」

香川町 31才 男性 ・「狭さを感じない明るい家だと思います。タタミの使い方も良いと思います。」

綾歌町 46才 男性 ・「デザイン的にも機能的にも優れていてとても良かったと思います」

高松市 48才 女性 ・「木の香りが落ち着いた心になる」

HOME
建物竣工写真集はコチラ